繋げられませんでした、メンシスの脳と月の魔物 (3)
本記事は狩人の夢に咲く植物について記述し、それから「メンシスの脳はおそらく月の魔物の首についていた」という論点をまとめたいと思います。
※内容は後々変更する可能性があります
まず狩人の夢の植物について。こちらはTwitterで推察されており、それに従い、改めて調べましたところ非常に興味深かったので引用させていただきました。
先だって感謝申し上げます。
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静かな愛と、なりそこないの八芒星
狩人の夢に白い花を咲かす植物はハナニラ。
しかし花弁は6枚ではなく7枚で、葉はホスタ(ギボウシ)であるそうです。
またゲールマン、月の魔物と戦闘するエリアのハナニラは葉が無く、花弁は5枚。
ハナニラの花言葉は「悲しい別れ」「耐える愛」「愛しい人」「恨み」「卑劣」
ギボウシの花言葉は「落着き」「沈静」「静かな人」
一見するとゲールマンとマリアを模して造られた人形との、切なくて優しい間柄を示すようです。美しい。
...しかし私はそうは捉えない。ありえない、フロムはもっと下衆なはずだ。
ねじ曲がった私の根性は修正されても、違和感は残る。
狩人と月の魔物についても意味を込めているはずです。
キーポイントはハナニラは別名「ベツレへムの星」であること、5枚と7枚の花弁であること、ギボウシは「擬宝珠」の訛りであること。
「ベツレヘムの星」については、私はキリスト教徒ではないし、専門的に学んだ訳でもありませんので概要と月の魔物に関連しそうな部分をピックアップ致します。
ベツレヘムの星は「東方の三博士」にイエス・キリストの誕生を知らせ、ベツレヘムに導いた、キリスト教徒にとって宗教的な星である。博士達は星の出現に霊感を受けて「東方」からエルサレムまで旅をした。
ベツレヘムの星は八芒星で表現される。
ベツレヘムの星は八芒星ですがハナニラ自体は6枚の花弁。しかしブラッドボーンでは5枚と7枚。(デザイナーよ、うっかりミスとは言うまいな)
ベツレヘムの星単体を見るならば、赤い月は上位者の幼体へと変態する狩人「再誕」の予兆の星ともとれますね。
5の意味合いとしては人間を表すことから行動と変化を示すそうです。
安部晴明しかり、星を示す数字ですね。
浄化や魔除けを意味するほか、逆さにすると悪魔の印でもあるようです。
気になるのがタロットカードの5「教皇」日本での呼び名は「法王」でもあります。
その名が示す通り教皇と双子の聖職者がモチーフとされ、教皇が人々を祝福し、罪を赦す場面は慈悲の象徴とされる。
「教皇」は「皇帝」と異なり宗教的な律法を司る。
社会的道徳ではなく宗教的聖性に基づいて裁きを下す。また「教皇」と「女教皇」は共に教皇であるが、「教皇」は書物を持っていない。
これは書物による法文の確認を必要としない──即ち「教皇」自身が法であることを示す。
法王といえばダークソウル3のサリヴァーンを思い起こしますが、ブラッドボーンに当てはめるならば、教皇が月の魔物、双子の聖職者は狩人とゲールマンでしょうか。
ブラッドボーン本編においては、赤い月が渇望され、あるいは天災のようにも扱われていますから、見る者によって違って見える月の魔物自体が「法」であるというのも、あながち間違いでもないですね。
次に7という数字。
8に一つ足りない=完成(完全)に一つ足りない...とおもいきや、キリスト教では天地創造が7日間で成ったことから「完全」を意味するそうな。
仏教では六道輪廻の先、7つ目の仏の世界を示すそうです。
八は日本では「多数」を示し、また末広がりの縁起の良い数字、キリスト教ではイエスの復活が死亡後8日目だったので「復活」の意味を持っているとか。
仏教では涅槃に至るための8つの実践徳目があり、正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正定を総称して八正道というそうです。
ここでダークソウルに目を向けますと、8は太陽を示す要素として表現されています。
(例に上げますと、太陽騎士ソラールの鎧の太陽の絵、太陽メダル、影の太陽グウィンドリンの王冠※こちらは7になっており、首輪を含めて8になります。)
また太陽は恩恵と回復の象徴とも表現され(太陽の光の恵み、太陽の光の癒し)、不滅である古竜のウロコをそぎ落とした、永遠性の破壊と狩りの象徴でもあります。
上記の内容を基に月の魔物について書き出すと、
キリスト教的には(信仰の対象として)完成された存在である。
キリスト教と仏教を絡めれば新世界や仏の世界の始まり、あるいは先駆けを示す存在。
ブラッドボーン世界における「法」そのものである。
ダークソウル的解釈では7=何かが欠けていて、太陽になりそこなった存在。また竜になりそこなった蛇(のようなもの)であり、不死の象徴である。
その欠けている何かを示すのはギボウシの名前の由来である擬宝珠であると思われます。(先に擬宝珠について記述します。)
擬宝珠(ぎぼし、ぎぼうしゅ)は、伝統的な建築物の装飾で橋や神社、寺院の階段、廻縁の高欄(手すり、欄干)の柱の上に設けられている飾りである。ネギの花に似ていることから「葱台(そうだい)」とも呼ばれる。
起源は諸説あり、一つは仏教における宝珠から来ているとするものである。宝珠は釈迦の骨壺(舎利壺)の形とも、龍神の頭の中から出てきたという珠のこととも言われ、地蔵菩薩などの仏像が手のひらに乗せているものである。
もう一つはネギのもつ独特の臭気が魔除けにもなると信じられ、その力にあやかって使われるようになったとする説
各部名称
先端の宝珠状の部分のみをさして、「擬宝珠」という場合もある。下にあるお椀を伏せたような部分を「覆鉢」、間をつなぐくびれた部分を「欠首」という。さらにその下、覆鉢の下の円筒形部分を「胴」という。
Wikipedia 擬宝珠 より抜粋
(画像は二条城の擬宝珠です。手元の写真がこれしかなく、橋を写していたので端っこでした。)
ネギ亜科であるハナニラと、ギボウシの命名元である擬宝珠が葱台と呼ばれているのはうまく合っていると感服します。
その形状はダークソウルでも一部で熱狂的なファンのいるカタリナシリーズでもおなじみの玉ねぎ頭です。
玉ねぎの花言葉は「不死」、その由来はエジプトにあり、首にかけて魔除けにしたり、ミイラを作る際は腐敗を防ぐために眼球をくり抜き、小さい玉ねぎを入れていたのだとか。
また薬としても利用され、心臓病、頭痛、寄生虫対策への効能がパピルスに記述されているそうな。血をサラサラにし、動脈硬化を防ぐのは確かですね。
その宝珠のくびれは欠け首と呼ばれている...つまるところ月の魔物に欠けていたのは首だった...と、推測いたします。
「釈迦の骨壺(舎利壺)の形とも、龍神の頭の中から出てきたという珠のこととも言われている」
これも興味深い。
7が仏の世界を示すと前述しましたが、今度は骨壺です。さらに龍神の頭の中から出てきた珠。
これらを切り落とされたメンシスの脳の暗示として引用し、謎を解く鍵として配置したのではないでしょうか。これに関しては次記事で解決したいと思います。
なお、「地蔵菩薩などの仏像が手のひらに乗せているものである。」
こちらは月の魔物が狩人を抱えるシーンと、人形が上位者の幼体となった狩人を抱きかかえるシーンに忍ばせているのではないかと(こじつけています)。
激しい落差。
最後にギボウシについて。
ギボウシ(擬宝珠)は、キジカクシ科リュウゼツラン亜科ギボウシ属(学名: Hosta)の総称である。
山間の湿地などに自生する多年草。食用となり、花が美しく、日陰でもよく育つため、栽培される。
「ギボウシ」は擬宝珠(ぎぼうしゅ)の転訛であるが、これはこの植物のつぼみ、または包葉に包まれた若い花序が擬宝珠に似ることに由来する。
「竜の舌」という一部の方に強烈に刺さる文言はさておき。
山間の湿地に自生し、日陰でもよく育つ、つぼみが「擬宝珠」に似ているというのが興味深いです。
ブラッドボーンにおいて水は神秘の前触れであり、夢の深度で考えるならば深い眠りの上にある狩人の夢は、無意識の海の上に浮かぶ湿地ともとれます。
上記のように月の魔物が太陽になりそこなった存在ならば、ダークソウルにおける影の太陽グウィンドリンと同質的な存在ともとれ、ギボウシの「日陰でもよく育つ」という特徴は、無視できないと思われます。
そしてカレル文字「深海」の効果と象徴がここに結びついて仕方ありません。
人ならぬ声の表音となるカレル文字の1つ
深く沈む様に似ることから「深海」の意味が与えられ
記憶する者の発狂耐性を高める
大量の水は、眠りを守る断絶であり、故に神秘の前触れである
求める者よ、その先を目指したまえ
(ブラッドボーンより カレル文字 「深海」)
「深海」の文字はテキストでは「深く沈む様に似ることから「深海」の意味が与えられ」と記述されていますが、文字自体についての見た目を書いてあるとは明言されていません。
文字の象徴が狩人の夢の植物であったならば、抽象的な図の七枚の花弁がそれを示すともとれます。
また「深く沈むように似る」ということから、深海では赤の波長は届かないという要素と「日没」を掛けて、メンシスの脳の赤い光を届きにくくする...という理屈で発狂耐性が上がる効果を得ているのかもしれません。
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ここまでのまとめ
前記事で、メンシスの脳が放つ光は太陽の光ではないかと記述し、今回は月の魔物が何かが欠けた、太陽のなりそこないと記述いたしました。
これらを繋げることで、7=「影の太陽である月の魔物」に足りなかった1=「太陽の光を放つメンシスの脳みそ」が合わさり、
8=本来月の魔物は夜を破り、目覚めをもたらす太陽の魔物であったのではないかと、ここに結論させていただきます。
メンシスの脳が夜行性でないのも、太陽に近い存在であるためだと考えられます。
また大聖堂の槍を構えたアメンドーズによく似た像こそ、首がある状態の月の魔物を模った像ではないかと考えています。
すなわち、太陽の槍により、獣の夜を屠り、目覚めの朝を与えてくれる獣狩り信仰の主神こそ本来の月の魔物であったのではないでしょうか。
少なくとも本編時間では。
そして人々のすがる神であるがゆえに、人々の「集合的無意識」に存在し、赤子を求める者へ応えるのではないでしょうか。
また前記事で記述した月の魔物の、狩人の体力を0にする技。
これは月の魔物が影の太陽であるがために、なりそこないの太陽の光を放てても死に至らしめることはできず、また太陽の光でないために目覚めさせることができない=実害ダメージを伴わないからだと思われます。
...しかし謎はまだあり、月の魔物の首は落とされているわけで。
次記事でこれまで提示してきた疑惑を総括しながら、狩人の正体について猿真似推理をしたいと思います。
ただし、「おそらくトリックのモチーフとされたであろう」作品についてネタバレしてしまいます。
「メンシスの脳はおそらく月の魔物の首についていた」という結論については、本記事で一応のまとめられた(と思う)ので、もう充分満足された方はそれでよいかとも思います。
私の妄言文にお付き合いくださる物好きな方は、また次の記事にて。
引用元
引用ツイート
前に言ってたハナニラ(ベツレヘムの星)と狩人の夢の花の比較。
— ことは (@8mizuha8) 2020年5月6日
かなり近いと個人的には思うんですが、花びらが一枚多いのと葉の幅が倍くらいあるのでこういう別の花があるんだろうか。 pic.twitter.com/GpdMLDUGGI
ことはさんもこの花をハナニラだと思ってらっしゃったんですね
— ねむねむ (@nemunemu206) 2020年5月7日
わたしもです😚
私は葉っぱの方はホスタで、寄植え、というか、植えっぱなしでごちゃまぜになってるんだろうなーくらいにしか考えてませんでした😅
花言葉、人形ちゃんとゲールマンにぴったりなんでハナニラ説、捨てがたいんですよねぇ…
ことは様、ねむねむ様感謝申し上げます。
御読了いただきありがとうございました。
*1:前の記事で取り上げた、「蛇は竜のできそこないであり 不死の象徴である」というテキストを参照すると、竜と太陽は実は同質的なものと捉えられます。
より正確には天そのものの象徴でしょうか。
それゆえ古竜は竜の力(雷)でしか倒せないのかもしれませんね。(蛇足ですみません。)
繋げられませんでした、メンシスの脳と月の魔物 (2)
本記事では前記事で記述したように、メンシスの脳と月の魔物について、本人?を見つめていきたいと思います。
また上位者の住処である悪夢についても、コラム的ですが関連要素として記述いたします。
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吸血鬼は陽光の夢を見るか?
要約してるようでしていない見出しはさておいて。
メンシスの脳みそは、吊るされていた際は脳みその方から積極的に交信してきますが、暗闇空間に落とされると一転して静かになります。夜行性ではないらしい。
その見た目は正に瞳を得た巨大な脳みそ。
この瞳、モチーフは脳腫瘍でありそうです。脳腫瘍は脳に発生する本人の意思とは無関係の生命、宿主を食らう新生物であるとも。
脳細胞との境界は明瞭であるため、良性腫瘍なのは間違いなさそう。
つまるところブラッドボーンにおける瞳とは、宿主の脳を圧迫し、幻覚(悪夢)を見せる...寄生生物と思われます。
また、メンシスの脳の吊るされていた周囲には瞳が生えていましたが、あれらは瞳の生命体なのかもしれません。フジツボみたい。
他の部分へ視点を移します。
脳を支える、一見すると骨のようなそれは血管。部分的にくも膜のようになっていますが、脳はそれよりも肥大した様子。
脳みその尻尾...にあたる部分は内頸動脈と椎骨動脈、動脈瘤が鈴なりになっています。
脳を支える血管は堅そうです。ひどい動脈硬化と思われます。まるで重度の生活習慣病...もとい肥満脳みそです。脂肪肝ならぬ脂肪脳。
血管が詰まってしまったからか、ひょろひょろの腕(大あご?)は動きません。
メンシスの脳を診察した医師は青ざめた顔になりそうですね。
なおメンシスの脳は脳みその癖に脈動しています、緩やかな鼓動音もあり。脳みそ自体が心臓だとでも言うのでしょうか。上位者の脳みそ凄い。
ここでよく似た見た目のほおずきと比べてみましょう。
メンシスの脳みそはほおずきの頭部と大体一緒ですが、相違点は腕が大きくならないことと、ほおずきは人形の体に繋がっていること。
ほおずきは狩人を食べます。見つけるなり大あごならぬ大腕を伸ばし、「ぱっくりもぐもぐ」その様は、まるで黄色い魔砲少女の最期の様。
ブラッドボーンにおいても狩人達が最も嫌う瞬間ではないでしょうか。
これらからわかるのは、おそらくメンシスの脳みそは餌を与えられ、丸々と太らされたということ。
月の魔物の脳であるとしたらば、正にレームダック。
すなわち役立たずの首脳、皮肉が効いてる。脳髄だけど。
なお、脳腫瘍は高たんぱく、高脂肪の食生活で急激に悪化、成長するそうなので、メンシス学派は大きな大きな瞳を得るためにメンシスの脳みそを育て、終いに腐らせてしまったのかもしれませんね。
ちなみにメンシスの脳にジェスチャー「交信」をすることによりカレル文字「月」を得られますが、この「交信」、手旗アルファベットだとP→Jになります。
信号が変わった際に「月」を得られるのですが、実はこれ、我々プレイヤー視点だとJ→Pとなります。JP、日本のドメイン。
「月」を物言わぬメンシスの脳みそに、我々が見出している。
前の記事で私はメンシスの脳が「発狂光線で照らしてくれる」と記述いたしました。
夜に血を集め、殺戮を繰り返す狩人を夜の種族...吸血鬼であると捉えれば、あるいは夢遊病の別人格だとしたら、眩いメンシスの脳の「太陽の光」に身を焼かれ、あるいは本来の人格の目覚めによりあたかもダメージを受けていると解釈することができます。
鎮静剤が濃い血であるのも、むりやり血に酔うことで別人格の目覚めを遠ざけているのではないでしょうか。
プレイヤーは意図せずして太陽の光であるメンシスの脳の光を嫌う訳ですから、これが太陽の光とあっさり理解されては謎にならない。
それゆえに「メンシスの脳みそ」という先入観を利用した叙述トリックを用意したのではないでしょうか。
さて、いよいよほったらかしてきた月の魔物本人について記述するとしましょう。
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月の魔物というバケモノ
いやあ素晴らしいデザインですね。
ヒルのようにぽっかり空いた穴の顔と髪の毛みたいな無数の触手、ダークソウルの貪食ドラゴンのような胸部は一切の内臓を欠いています。腹部なんて背骨だけです。
体格はアメンドーズと大体一緒、ヤハグルのアメンドーズは頭の下から触手が出ています、(普通にクトゥルフモチーフですね)。
強いて言えば尻尾の形状がメンシスの脳の尻尾と似ているでしょうか。
さて、その戦闘ぶりは正に獣ですが、なかなか不自然。
ひたすらに暴れまわり、しかし狩人を正確に狙えていない。
それどころか見失った狩人を探すようなそぶりさえ見せます。
おそらく目は見えていない。
面白いのは狩人のHPを0にする技。しかしリゲインでそれを取り戻せる。
↑これが重要でして、次記事で拾います。
さて、上記から解るのは内臓がすでに無くなっており、生物として月の魔物を見るなら、既に死んでいるということ。
黒獣パールのように生存本能の意識のみで動いているのではないでしょうか。
しかし疑問が湧きます。なぜ敵対者の居ない狩人の夢にいながら死んでいるのでしょう。
本当に頭部があの形状ならば、生物ですから、あのような内臓の腐り落ちた姿にはならないはず。
なんらかの外的要因があってあの姿になったと思われます。
(ようやく主題に繋がりました、まあ結果的に繋がらなかったんですけど。)
つまるところ、肥満化させられる前のメンシスの脳が、月の魔物の首に繋がっていたのではないでしょうか。
月の魔物は頭部を切り落とされ、餓死し、あのような姿になったのだと思われます。
月の魔物の頭部にアメンドーズのような頭部があったならば、親子関係であった可能性も信憑性を増します。
ともあれ、頭が無くても死なない、そんな気持ち悪いほどの生命力を持った生き物、そのモチーフは我々の生活のすぐ近くにいます。
Gです。G。古き名はごきかぶり。御器=器すらかじるためにその名がついたそうです。
名前はともかくとして、この生き物、首をもがれても一か月は生きるそうな。その後の死因は餓死。
なぜ生きれるのかというと、食道下神経節により手足は制御されているから。
鶏でも首が無いまま18ヶ月生きていた鶏、「首無し鶏マイク」というのがアメリカであったそうです。(その鶏は脳幹と片方の耳が残っていたため生存できたそう。)
月の魔物は頭部の基部にあたる触手は残っており、それらが脳幹に当てはまる、あるいは食道下神経節、また脊椎反射により行動しているのかもしれません。
前記事で取り上げたドグラ・マグラにも「脳髄は物を考える処に非ず」などと(架空論文で)論じられています。
それらをデザインに反映したものが、本編の月の魔物の頭部なのではないでしょうか。
(まるで頭半分なくなっても平然としてた白髭みたい。)
ちなみに月の魔物の登場シーンは太陽をバックに決めポーズする究極生命体カーズのよう。(ジョジョの奇妙な冒険第二部ラスボス)
そう捉えるとメンシスの脳やほおずきはワムウやエシディシの最期みたいですね。
(エシディシは脳みそだけで行動、ワムウは首だけで部下である吸血鬼を多数殺害。)
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継ぐ者と月の魔物
三本目のへその緒を三本使用していない場合は「遺志を継ぐ者」エンドとなり、
月の魔物に獣の抱擁をされ、ゲールマンと同様に狩人の夢の管理者にされるようです。
重要なのは抱擁される描写。狩人を大切な人形のように両手で抱え、その顔を近づけ...
聞こえるのはゴポゴポという水音。
狩人は月の魔物に血を吸われたんじゃないでしょうか。
これは後続のフロムソフトウェア作品であるSEKIROにおいて、ゲーム根幹に関わる重要な要素として扱われております。
SEKIRO主人公である狼は、特別な血(竜胤の血)を持つ主、九郎にその血を受け入れられたことにより従者となっており、主のいる限り不滅の存在と化しています。
上記の、通常考えられる吸血鬼と眷属の関係と真逆のシステムは、そのモチーフを古事記に見受けられます。
日本の神話は口伝の諺ないし歌として伝えられ、それらが書き起こされたものですが、天皇にまつわる歌が本筋として置かれ、そこに後から血統の交わった氏族の歌も編纂され、まとめられたものが古事記だそうです。
これを基にブラッドボーンにあてはめると、月の魔物に血を受け入れられ、狩人は月の魔物を主神とした上位者の系譜に連なった、ということになります。
これはただ上位者の血を体に入れ、眷属ないし獣となるヤーナム内外の雑魚連中や一般狩人とも全くもって別次元の話です。
ミコラーシュも同様にメルゴーの乳母に血を受け入れられ、悪夢の管理者の立場となったのかもしれませんね。
それならば悪夢の主と表記されるのも一応理屈にかないます。
さて、これまで月の魔物の象徴である赤い月は、月ではなく太陽ではないか?と、メンシスの脳の光も交えながらいくつか仮説の要点を提示してきましたが、もう少し補足したいと思います。
まずは狩人の夢、その浅い眠りについて。
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目覚めへの夢と無意識の夢
ロマ戦後の狩人の夢。「若干欠けた月」と、夜明け前の空。この赤く染まる雲は、狩人の夢を中心に円を描いています。まるで、狩人の夢にある太陽が昇る前のように...
それはともかくとして、狩人の夢は雲海に浮かぶ絶海の孤島のようでさえあります。
(どうみてもラピュタ)
メンシスの悪夢は辺境の悪夢と、狩人の悪夢は漁村と...他の悪夢とのつながりを感じさせますが、狩人の夢は明らかに狭く、異質。
そしてあらゆる場所の目覚めにも、あるいは悪夢の中にさえ、果ては深い迷宮の底にすら、繋がっています。
次は狩人の夢と悪夢の違いについて
レム睡眠は、鳥類と哺乳類にしかみられない。
レム睡眠は睡眠中の状態のひとつで、身体は骨格筋が弛緩して休息状態にあるが、脳が活動して覚醒状態にある。
レム睡眠時には視床での情報伝達が遮断され、脊髄のレベルで筋肉への情報伝達が遮断されて、運動機能が制止されている。
大脳皮質は覚醒時よりもむしろ強く活動しており、運動機能を遮断しておかないと身体が寝ながらにして激しく動いてしまうことになる。
ただし眼球だけが急速に運動している。レム睡眠時には脳の強い活動の反映として夢を見る
ヒトでは新生児期に多く睡眠時間のおよそ半分を占めるが、加齢に従って徐々に減少し、小児期で 20%、大人では睡眠時間の約20 - 25% になる。
つまりレム睡眠は、体は寝ているけれど、脳は起きている睡眠、夢を見るのはこの睡眠の時で、新生児は半分がレム睡眠。
(胎児の夢が長い...という架空説もあながち間違いでもない?)
そして「レム睡眠は、鳥類と哺乳類にしかみられない」というさらりとした重要事項。
次は反対のノンレム睡眠について。
急速眼球運動を伴わない睡眠のことをノンレム睡眠 (Non-rapid eye movement sleep,Non-REM sleep) または徐波睡眠(じょはすいみん)という。ノンレム睡眠はステージ1(N1)からステージ4(N4)までの4段階に分けられ、N4が睡眠の最も深いレベルである。
睡眠時間の50-60%はN1-N2睡眠が占めている。
レム睡眠は入眠後2時間以内に現れるが、入眠から30分以内にレム睡眠が現れた場合はうつ病、ナルコレプシー、サーカディアンリズム障害、薬物依存などの病態が疑われる。
面白いのは眠りの深さに4つのステージがあること。N1~N4までの眠りの深さがあり、睡眠時間の5~6割はN1からN2。
これをブラッドボーンの悪夢空間に当てはめると、
レム睡眠→狩人の夢
ノンレム睡眠
N1→メンシスの悪夢
N2→辺境の悪夢
N3→漁村
N4→狩人の悪夢
となりましょうか。上にいくほど目覚めに近く、それゆえに太陽の如き月の魔物が住まうのではないでしょうか。
反対に下ほど深き眠りとなり、アメンドーズに誘われた古狩人達はその深い眠り...無意識の底に沈んでいるのかもしれません。
またマリアは、一つ浅い眠りである、漁村へ続く時計盤を守っています。
古狩人達がその先にあるものを夢に見ないように、あるいは無意識の海から目覚めてしまうのを防ぐために、時を止めていたのかもしれません。
ちなみにヴァルトールは主人公と一緒で悪夢に囚われません。衣装と武器が落ちていたり、ルドウィークと平然と渡り合ったり...ヴァルトールの謎に迫る重要な要素であることは確か。というより多分彼は...
※レム睡眠について関連する記述を少し。
レム睡眠は哺乳類と鳥類にしか見られない...ということは、ゴースはもとよりアメンドーズも哺乳類ではなく、例外的に狩人の夢に居る月の魔物は哺乳類である、ということなのかもしれません。
アメンドーズは爬虫類だったのかもしれませんね。
狩人は入眠直後でレム睡眠である狩人の夢へ行くため、うつ病、ナルコレプシー、サーカディアンリズム障害、薬物依存の可能性があるのは確かです。
次に狩人の夢の戦闘エリアに咲く植物について記述する...つもりでしたが長くなってしまったため、次記事に記述いたします。
最後に本記事の要点を。
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本記事の要点
- メンシスの脳は夜行性ではないらしい。
- メンシスの脳は後天的に肥大し、腐った可能性がある
- 狩人を吸血鬼である、あるいは夢遊病の別人格と解釈すると、メンシスの脳の「太陽の光」に身を焼かれ、あるいは本来の人格の目覚めによりあたかもダメージを受けていると解釈することができる。
- 鎮静剤が濃い血であるのは、むりやり血に酔うことで別人格の目覚めを遠ざけている可能性がある。
- 生物として月の魔物を見るなら、既に死んでいる。
黒獣パールのように生存本能の意識のみで動いている可能性がある。
- 月の魔物は頭部の基部にあたる触手は残っており、それらが脳幹に当てはまる、あるいは食道下神経節、また脊椎反射により行動しているのかもしれない。
- 夜明け前のように赤く染まる雲は、狩人の夢を中心に円を描いている。しかし太陽は出てこない。
また欠けた月は、月の魔物とともに現れる赤い月とは全く方向が違う。
- おそらく狩人の夢は無意識の海に浮かぶ、目覚めにほど近いレム睡眠の夢
- 狩人は入眠直後でレム睡眠である狩人の夢へ行くため、うつ病、ナルコレプシー、サーカディアンリズム障害、薬物依存の可能性がある。
今回も読了いただきありがとうございました。
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引用元
繋げられませんでした、メンシスの脳と月の魔物 (1)
※記事の前に
前もって申し上げますと、私はいわゆる「ソウルシリーズ」各作品は、平行かつ多層的な世界線の一場面としてどこかで繋がっていると解釈しています。
没データ群もゲーム本編の前日抄として、解析前提で配置されていると考えています。
また史実他、各メディア作品群からもBGM含め多数のオマージュがあると考えており、それらの解釈に否定的な方は読むことをおすすめいたしません。
まるで夢野久作著「ドグラ・マグラ」のように奇怪極まりないブラッドボーンですが、とりあえずストーリーは置いといて「メンシスの脳は月の魔物の頭部だったんじゃないの?」という妄想を基に「メンシスの脳」と「月の魔物」について書きたいと思います。
上記を軸に書き込んでいましたが、考えをめぐらせるうちに主人公と月の魔物にも迫る内容となってしまいました。
なお長文となったために分割いたしました。
本記事では関連アイテム群からメンシスの脳と月の魔物、それらに関わるキャラクター達を巻き込みながら記述いたします。
ご興味ありましたら、お付き合い下さいませ。
本記事では大体「メンシスの脳」について、多大なる寄り道をしながらあれこれ記述いたします。
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滅菌装置、メンシスの脳みそ
メンシスの悪夢に到達した狩人に何を訴えたいのか、発狂光線で照らしてくれるメンシスの脳。その様はまるで吊るされたアンコウのようで、どこか切ない。
ドロップアイテム、生きているヒモのテキストからは「メンシスが悪夢で得た脳みそ」「瞳を抱いているが出来損ないの邪眼」「腐っているが生きている」旨がわかります。
また落下させたメンシスの高楼内部、暗闇の中でジェスチャー「交信」をすることによりより鮮明な「月」のカレル文字...すなわち月と示される上位者の声を授けてくれます。
「月」のカレル文字のテキストによると
悪夢の上位者とは、いわば感応する精神であり
故に呼ぶ者の声に応えることも多い
(ブラッドボーン カレル文字「月」より抜粋)
...のだとか。月のカレル文字はヤハグル→メンシスの悪夢→メンシスの脳と、メンシスの脳に近づくにつれて効果が上昇した(鮮明な)「声」が得られます。
メンシスの脳は上位者になりたいミコラーシュ達メンシス学派にも応えたのだろうと推察されますが、吊るされているのを鑑みるに彼らの理想と現実は違ったようです。夢の世界だというのに...
目的は達成されず、しかしメンシスの悪夢に押し入る狩人への対策にはもってこいなので、兵器として吊るされたのかもしれません。きたねぇシャンデリアだ...
なお、メンシスの脳が吊るされていた付近の発狂死体は教会の黒装束達。予防の狩人はメンシスの脳、その恐ろしい光に獣の病の予防効果がある...という啓蒙を得たのでしょうか。
また教区長エミーリアのいる聖堂の門は黒装束が守っていました。彼らはメンシス学派に鞍替えし、メンシス学派はエミーリアを上位者の赤子の母体...実験台にしていたのかもしれません。
また月のカレル文字はダークソウル「貪欲な銀の蛇の指輪」の効果と同様です。そのアイテムテキストには「蛇は竜のできそこないであり 不死の象徴である」とあります。
ほおずきは「輝血」と別名されていたり、八岐大蛇の目がホオズキのように赤いのが由来とされていたりその関連性を否めません。
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進化の悪夢
関連するアイテムテキストを参照してみます。
メンシスの脳は「メンシス=月と示される上位者の脳」であると同時に「メンシス」の脳ではありません。「メンシス学派」が悪夢で得た脳みそでもありません。
「メンシスが悪夢で得た脳みそ」なんです。
メンシスとは誰なのか、どの悪夢で得たのか、そして誰の脳みそなのか、誰が切り落としたのか...テキストからはそんな疑問が匂いたちます。
ところでメンシスの悪夢、その主と明記されているのはミコラーシュですが、悪夢そのものは倒すことで「HUNTED NIGHTMARE」と表示されるメルゴーの乳母...あるいは赤子の笑い声がしてから表示されることを鑑みると、思念体の赤子メルゴー自体と思われます。
※「ドグラ・マグラ」内の架空論文「胎児の夢」を参照するならばメンシスの悪夢とはメルゴーの見た千夜にして一夜の進化の歴史の悪夢とも。
( 胎児の夢)
人間の胎児は、母の胎内にいる十ヶ月の間に一つの夢を見ている。
その夢は、胎児自身が主役となって演出するところの「万有進化の実況」とも題すべき、数億年、ないし、数百億年にわたるであろうおそるべき長尺の連続映画のようなものである。
上記「胎児の夢」をブラッドボーン内の設定に取り入れていると仮定したならば、現実世界は一夜であっても、悪夢世界では莫大な時間が経過する...というカラクリが見えてきます。五億年ボタンですね。
ゲールマンの精神が磨滅しかかっているのも、意志を継ぐエンドでいきなり狩人が車椅子で介護されているのも納得できませんか?
旧市街がつい最近焼き討ちされたように、いまだ火が燻っているのも...
そして狩人の夢で首を切り落とされた、生命の源「血の遺志」を沢山ため込んだ狩人の肉体が、変態し、生存本能のみでながらえているなんて妄想が湧いてきます。
なおゲールマンによる狩人の介錯シーンでは切り飛ばされた狩人の首が映りません。
狩人の首、どこ行った。
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流転の脳みそ
ところで...が長くなりました。メンシスについて続きを。
ミコラーシュは悪夢の主であるにも関わらず悪夢は「メンシス」を冠しています。
つまり実態はメンシスなる存在の支配する悪夢と捉えられるようにも表記されているのです。ではメンシスとはだれなのか。
メルゴーの高楼、その頂上で月をバックに戦う正体不明の存在、メルゴーの乳母こそがメンシスなのではないでしょうか。
メルゴーの乳母=メンシスがメンシスの脳を手に入れた。メルゴーの乳母を倒すと手に入る「三本目のへその緒」のテキストによると別の第三者から。しかし役立たずなのでミコラーシュに下賜された様子。
さて、わざわざ「メンシスの脳」がある悪夢の中で「悪夢で得た」と記述されるのは妙です。メンシスの悪夢に脳みその主と思われるような頭の無い生物は居ません。
別の悪夢で得たと解釈するのが合理的です。
ここでゲールマンのセリフが思い起こされます。
...解放されるのだ この忌々しい、狩人の悪夢から...
狩人の夢も悪夢です。月の魔物を倒すことで「HUNTED NIGHTMARE」の表示がなされるため、まず間違いないと思われます。
少々強引ですが、月の魔物がメンシスの脳の持ち主であった可能性を否定できないのです。
※聖杯エリアは「悪夢」に含まれないと解釈しております。ただし聖杯没エリアに全く異なるデザインの月の魔物が存在し、月も太陽もないただ薄暗い特別な空間であること、オブジェクトデザインがデモンズソウルに存在していることは所謂ソウルシリーズ全体の謎を解くにあたって非常に重要な要素であると考えています。
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おそらくそれは狩人
脱線しましたが、前述したメンシスに脳を与えた第三者の謎について続きを。
メルゴーの乳母が持っていた三本目のへその緒のテキストには
中略 すべての上位者は赤子を失い、そして求めている
故にこれはメルゴーとの邂逅をもたらし
それがメンシスに出来損ないの脳みそを与えたのだ
(ブラッドボーン 「三本目のへその緒」より抜粋)
とあります。変な記述ですね。
「三本目のへその緒」のアイテムテキストなのでこれが示すのは三本目のへその緒のことと思われますが、それが不可解です。
しかし少なくともわかるのは、メルゴーとの邂逅は三本目のへその緒を介して行われたということ。
つまりあの場にはメルゴーの両親が、片方は精神体だったとしても居たはず。
トゥメルの女王ヤーナムが母親であるのは確かです。
白痴のロマ戦後に女王ヤーナムは突然現れ、赤い月へ嫁入りしているかのよう。
なので赤い月との交信と妊娠、メルゴーの意識の宿ったへその緒を取り出される、それをメルゴーの乳母が入手する、に至るまでの一連の出来事は狩人が意識を失っていた間の出来事。
目が覚めるとそこはヤハグルへ続く教会。その間狩人は何をしていたのか...
(キング・クリムゾン!!)
アイテムテキストの示すそれとはこのヤーナムの嫁入りの出来事そのもの...
と書いたものの、いやしかし文面を読むに人物でないとおかしい。
「それ」と呼ばれる存在がメンシスに出来損ないの脳みそを与えている。
話がそれますが、「それ」といえばデイヴ・ペルザー著「"It"と呼ばれた子」を思い出します。
狩人の過去は「悲惨な幼年期」も選べます。というか名前から過去から自分で選んで誓約書に記入します。
まるで夜の訪れの前に、眠ってしまう前に、でたらめな過去の筋書きを夜に起きる自分に書き残して置くような...
車椅子の男が笑っていたのは、それがとても滑稽だったからかもしれません。
自分で自分の名前を付ける前、狩人は何という名前だったのでしょうね?
なお契約終了する(文字通り首を切られる) のはヤーナムの夜明けエンド。すなわち契約者は、謎の車椅子の男は現実世界のゲールマンの可能性があります。
周りくどい話をしました。つまり何を言いたいかというと、メンシスの脳を、メルゴーの意識の宿るへその緒をメンシスに与えたのは、意識を失っていた間の狩人本人、すなわち...狩人は多重人格だったのではないかという可能性。狩人の人格は夢遊病とも言えましょうか。
メルゴーの乳母にメンシスの脳と新鮮なへその緒を渡すことができるのは、どう考えても作中かなりの重要人物。
また狩人は古狩人デュラから「狩りに優れ、無慈悲で、血に酔っている」と評されます。
プレイヤーの操作する狩人は血に酔っているのです。本能のままに行動している。では酔いが醒めたら?
さて、話は重要参考人であるメルゴーの乳母へ。
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無限大な夢の後の
末路はお前の悪夢だぞ、という狩人の心中はさておき。
メルゴーの乳母はムービーでわかるように透明です。血も出ません。すなわち精神体。なお首から下げているのはおそらくハムサ(中東地域などの邪視から身を守るための護符)...と言いたいのですが手を示す5本指ではなく4本指。親指が欠けている?
ロマ戦後どうしたのかは知りませんがメルゴーの乳母は月の魔物の赤子であるメルゴーを(精神体が精神体を、ですが)捕まえています。
こことても不思議。
メルゴーの乳母に赤子を強制受胎させる力があったならば、ロマが倒された時点でオドンのように穢れた血の末裔に干渉するはずです。
自分の子供を優先するのが生物の本能だから、精神体だけど。
※ここからは私の妄想が激しくなります。
そんなメルゴーの乳母ですが協力者は多かったようで、アメンドーズや鐘を鳴らす女などトゥメル関連の上位者であることは確か。
彼は小アメン、その思念体なのかもしれません。
七本ある腕の一本を落とされ殺害されたと思われます。
裏切ったヤーナム、その手先となった墓暴き達によって。
異常者ワラーは小アメンの腕を武器にしています。あの腕、メルゴーの乳母の腕の一本だったのではないでしょうか。メルゴーの乳母の腕は六本です。
「腕を切り落とされたと認識した」後に殺害されたために、思念体となっても落された一本を再現出来なかったのかもしれませんね。
メルゴーの乳母「蛸足奇剣!!」狩人「刀狼流し」
ヤーナムは赤子を求め婚姻したが、レッドゼリー(劣化コピーの赤子)しか受胎させられない憐れな落とし子達、アメンドーズに失望して赤子を受胎させてくれる上位者を求めていたと思われます。その求めた存在こそ月の魔物だったのでは。
そして当然ながら自身も赤子を欲しがっていたメルゴーの乳母(とアメンドーズ達)は、思念体となって以後自身の赤子、再誕者を現実世界に産み落とすため、メンシス学派を操り暗躍していた...と推測します。
月の魔物を裏切って。
「メルゴーの乳母」はメルゴーの乳母なんです。自身の子ではないメルゴーの乳母。
育ての親。前述したハムサが親指を欠いているのも、メルゴーの乳母=小アメンが落とし子である...親である月の魔物から見放されているから、そして邪視=邪眼を、月の魔物を完全には拒絶せず、利用しようとしていたからではないでしょうか。
残念ながら計画は全て狩人に粉砕されますが。
※メルゴーの乳母率いるアメンドーズ達は周りくどい赤子作りをしています。
上位者となりえる赤子にはへその緒=意識が不可欠であり、アメンドーズ達はそれを自身の赤子に与えられないために劣化コピーである意識が芽生えない、思考できない赤子しか作れなかったと思われます。
意識が芽生えない、ということは必然的に大脳が発達していないということで、三本目のへその緒の有無が上位者の赤子に大脳を与えるか否かを決める...脳を肥大させる寄生虫なのかもしれません。(メンシスの脳みそから得られる生きているヒモ)
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へその緒は進化の元
なお三本目のへその緒と上位者の関係性を書き出し、まとめると以下のような図になるかと(個人的に思っています)。デジモンでの例えはまとめの方で回収します。
アメンドーズやエーブリエタースはへその緒を自身の赤子に与えられない。
月の魔物やオドン、ゴースはへその緒を与えれている。
狩人はへその緒を3つ使用することで、なにやら月の魔物を凌ぐ様子。
狩人はへその緒を三本使用することで月の魔物を超えた究極の上位者へと進化する力を得たのかもしれません。
4本目のへその緒で「超究極体」になるのだろうか
デジモン的には「瞳のデジメンタル」でアーマー進化ですね。
さて、ここで少し視点を変えて、メンシスの脳と月の魔物、アメンドーズのデザインから類似性を見出してみます。
...と言いたいのですが酷く間延びしてしまいましたのでここで一旦区切りたいと思います。
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本記事の要点
最後に、この記事の文から最終的な「なんちゃって推理」に使用する論点を。
- 月のカレル文字はダークソウル「貪欲な銀の蛇の指輪」の効果と同様。そのアイテムテキストには「蛇は竜のできそこないであり 不死の象徴である」とのこと。
- メンシスの脳は「メンシス=月と示される上位者の脳」であると同時に「メンシス」の脳ではなく、「メンシス学派」が悪夢で得た脳みそでもない「メンシスが悪夢で得た脳みそ」
- 現実世界は一夜であっても、悪夢世界では莫大な時間が経過する可能性がある。
- 狩人の夢でゲールマンに首を切り落とされた狩人の肉体が、生命の源「血の遺志」を沢山ため込んだ変態し、生存本能のみでながらえているという可能性。そして切り落とされたが画面に映らない狩人の首。
- 狩人の夢も悪夢であるため月の魔物がメンシスの脳の持ち主であった可能性を否定できない
- トゥメルの女王ヤーナムが赤い月との交信と妊娠、メルゴーの意識の宿ったへその緒を取り出される、それをメルゴーの乳母が入手する、に至るまでの一連の出来事は狩人が意識を失っていた間の出来事。
- 狩人は来歴を契約書に記入する、契約終了(首を切る)はゲールマン
- 狩人は「狩りに優れ、無慈悲で、血に酔っている」夢遊病ないし多重人格の可能性がある。
- メルゴーの乳母=小アメンの可能性が高い。手を模った邪視除けの護符を身に着けているが、護符の親指がない(親に見捨てられた?)、またアメンドーズ達は憐れな落とし子と呼ばれている(蜘蛛のパッチ談)
- おそらくメルゴーの乳母(アメンドーズ)は上位者になれる赤子を作る力がなく、親(月の魔物)の子であるメルゴーを自分らの赤子として再誕させた。
いやはや煩雑な内容で申し訳ございません。
次はメンシスの脳と月の魔物について、本人?を見つめながら住処である悪夢についても書きたいと思います。
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引用元
読了してくださり、ありがとうございました。
*1:なお、(おそらく)逆さの湖面でロマが秘匿していたのは、人間全体の「集合的無意識」の心理であり、「獣の本能」...種族の繁栄と進化を願う人間の総意こそが、光を放つ赤い月だったのではないでしょうか。
そして湖の内側から赤い月に沈み込むために、赤子は「メルゴー」という名前を付けられた意味合いもありそうです。
集合的無意識(しゅうごうてきむいしき、ドイツ語:Kollektives Unbewusstes、英語:Collective unconscious)は、カール・グスタフ・ユングが提唱した分析心理学における中心概念であり、人間の無意識の深層に存在する、個人の経験を越えた先天的な構造領域である。普遍的無意識(ふへんてきむいしき)とも呼ぶ。
*2:偉大なる上位の獣は聖杯の没?エリアで戦えます。その姿はまるで生きていた頃のローランの黒獣、または黒獣パール。偉大なる上位の獣はかつて狩られ、それでもなお生存本能(動物的な精神)により遺骨を動かしていたのでしょうか。